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March 10 2020

俵ヶ浦半島・庵浦町に今も大切に根づく美しき教え

俵ヶ浦半島・庵浦町に今も大切に根づく美しき教え

■ 庵浦町の歴史・文化を巡る「庵浦町 お遍路トレイル」

俵ヶ浦半島の東部、佐世保湾側の入り江に位置する庵浦町。ここには、佐世保の日宇新四国八十八ヶ所(お遍路さん)の札所も多く、「庵浦町お遍路トレイル(PDF)」を巡るとその歴史や信仰にも触れることができます。

「庵浦町お遍路トレイル」は俵ヶ浦半島トレイルコースの2本目のコースとして2014年に誕生。地域の皆さんが作ったコースは、六道の辻にある弘法大師を祀る「御弘法さま」や「金刀毘羅さま」、九州二十四地蔵尊霊場の第14番札所でもある「六大寺」など、この地の歴史や文化、暮らしを感じるスポットを巡るコースです。

なかでも庵浦町民に長く親しまれ、大切に守られてきた象徴的な存在が、庵浦の中心集落にひっそりと佇む「御観音さま」。

町の中心集落に位置する「御観音さま」。日宇新四国八十八ヶ所の札所のひとつ。

ここ御観音さまでは、年に2回だけ、代々受け継がれている2枚の地獄絵が開帳され、地域の方々が家族と集まり、「心」を大切にする教えを伝えています。その御観音さまと地獄絵について、庵浦町の大谷政輝館長に話を伺いました。

 

■ 年に2回、御観音さまに飾られる「地獄絵」

毎年1月16日と8月16日、お観音様に2枚の地獄絵が飾られます。半年に一度のこれらの日は地獄の釜のふたが開く「閻魔縁日」とされ、地獄で死者を責める鬼たちも休みの日。御観音さまはいつ頃から祀られているのか、確かな文献はないそうですが、その昔、村に疫病が流行った時、亡くなられた方々の供養のために御観音さまが安置されたと伝えられています。隣に建立されたお地蔵様のところには、江戸後期の「文政4年」(1821年)と刻まれています。御観音さまや開帳される地獄絵も、同時期に伝わったのでは、とのこと。

飾られる地獄絵は、1枚は閻魔大王をはじめ10人の王が描かれた「十王図」で、もう1枚は「観心十界図」。

開帳時の御堂の様子。観音様を中心に、左が「観心十界図」、右が「十王図」。

「観心十界図」は、「心」の文字を中心に10の世界が描かれています。「心」の字の上に描かれたのが仏界で、そのほか天道、人道、畜生道、地獄道などの「十界」が並んでいます。「心」とは人の心で、「良いことをするのも悪いことをするのも自分の心次第。心のありようで次の生を受ける世界が決まる。」という意味が込められています。

 

■ 代々受け継がれる地獄絵の教え

年に2回の開帳の日。この日は庵浦町内の方々が集まり、供養のために御詠歌を唱えます。昔から親や祖父母に連れられて子供たちも一緒にお参りをしたそうで、お参りの際には子供たちに「嘘をついたり、人をいじめたり、悪いことをしたら地獄に行くよ……」と地獄絵のお話を。大谷館長も子供の頃に訪れたとき、この小さな御堂で見る地獄絵はとても怖かったそう。

地獄絵を前に庵浦町の歴史を話してくださった、大谷政輝・庵浦町公民館長。

こうした「心」を大切にする教えは、今もなお庵浦町で言い伝えられ、親から子へ、子から孫へと大切に受け継がれている、と大谷館長は話します。また、こうして教えを伝えることが、地域の老若男女の交流にもつながり、地域に対する想いを育んでいくことにもつながります。

地域の方々が教えとともに守り受け継ぐ2枚の地獄絵。次回開帳されるのは8月16日です。地獄絵の開帳に合わせて、「庵浦町 お遍路トレイル」を歩いてみてはいかがでしょうか。

御観音さまの前で庵浦町の皆さんと。

参考:
庵浦町公民館創立50周年記念誌(1999年)
長崎新聞「代々受け継ぐ 庵浦の『地獄絵』」(2016年8月21日)

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