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March 30 2020

俵ヶ浦半島の新たな特産品を作ろう!「俵ヶ浦半島ハーブプロジェクト」

俵ヶ浦半島の新たな特産品を作ろう!俵ヶ浦半島ハーブプロジェクト

Photo / Koichiro Fujimoto

 
■ 俵ヶ浦半島が培ってきた生業の風景を守りたい

半農半漁の暮らしが続けられてきた俵ヶ浦半島。その美しさの1つに、住民が手をかけてきた畑や田んぼの風景があります。日当たりの良い斜面地に石垣を組んで作られた昔ながらの小さな畑は、鉄分の多い赤土の土壌で、イモやタマネギなどの根菜類、キャベツや白菜といった葉物、蜜柑やビワなどの果実が、四季折々に豊かな実りの風景を見せてくれます。

一方で、重機を導入した大規模な農業ができないため農家の苦労は多く、なかなか後継者がいないのが現状です。若い世代は街に勤めに出る人が多くなり、あちらこちらで耕作されなくなった田んぼや畑が増えてきました。

手入れされなくなった耕作地はすぐに荒れてしまいます。俵ヶ浦半島の魅力である美しい生業の風景を守ることはもちろん、半島の活性化にも、地域の農産物の活用は欠かせません。

そこで、「俵ヶ浦半島農産物生産者意見交換会」を開催。俵ヶ浦半島の農業の現状や、今後生産を続けていくための課題、農産品の活用アイデアなどを、生産者が集まって話し合いました。

生産者意見交換会では、半島の農業に対して活発な意見交換が。

 

俵ヶ浦半島では、個人で少量・多品種の農産物を生産されている方が多く、ほとんどが家庭用や、直売所などを通じて販売している状況です。個人生産のため、生産力や栽培に関する知識不足、販売先や利益の確保も課題でした。

中でも、近年特に問題となっているのは、生産者の高齢化。高齢化により畑の手入れが十分にできずにいると、生産力自体が落ちてしまいます。また、キャベツや芋類などのいわゆる「重量野菜」は高齢者には肉体的負担も大きく、出荷用の農産物の生産を徐々にやめてしまっているのだそうです。

そこで挙がったのが、重量野菜から軽量野菜への転換です。合わせて、農産物を生かした加工品づくりや半島野菜のブランド化の可能性についても話題となり、特にアイデアとして挙がったハーブの栽培に関心が集まりました。

 

■ 「俵ヶ浦半島ハーブプロジェクト」の始動

意見交換会では様々なアイデアが挙がりましたが、続けていくためには生産者が無理なく楽しくできることが重要です。そこで、意見交換会で特に盛り上がったハーブの栽培について、「俵ヶ浦半島ハーブプロジェクト」と銘打ち、実験的に動き出すことになりました。

早速専門家を招いて「俵ヶ浦半島ハーブプロジェクト」のスタートアップミーティングを開催。勉強会を通じて生産者のやる気を後押しし、ハーブ栽培のその先を具体的にイメージすることが狙いです。

地元にはハーブの栽培に関するノウハウがなかったので、様々な専門家のネットワークを持つ(株)SAGOJOの石田奈津子さんに協力いただき、ハーブアーティストのKANAMEさんと出張料理人の志田浩一さんを招き、本格的なハーブ料理を味わいながら、ハーブの栽培育成・食の活用・商品化など、知識と興味を深めてもらいました。

出張料理人の手によるハーブを使った料理が多数並び、イメージを膨らませる参加者の皆さん。

 

KANAMEさんからは様々なハーブの種類や効能、栽培や活用の方法について話していただきましたが、なかでも生産者の関心を集めたのは、日本在来品種である和薄荷(ニホンハッカ)。圧倒的なメントール含有量を持つ個性的なミントですが、現在は岡山県や北海道の一部でしか栽培されておらず、とても希少な品種になっているそう。その和薄荷を俵ヶ浦半島で栽培することでブランド化にもつながるのではないか、と。

この日まではハーブ栽培に漠然としたイメージしか抱いていなかった生産者の皆さんでしたが、専門家の話を聞き、料理を味わい、ハーブの可能性を知るにつれて次第に前向きになっていく姿がありました。

 

■ 俵ヶ浦半島産ハーブの生産に向けて、試行錯誤の連続

スタートアップミーティングの翌日には、旧野崎中学校の花壇でKANAMEさんによるハーブ苗の植え付けと育て方の実習が行われました。期待の高かった和薄荷の苗も仕入れ、合計で14軒の生産者により、9箇所の畑で試験栽培の植え付けを行いました。

その後、植え付けした和薄荷の生育状況に合わせ、収穫・乾燥方法に関する講習会を開催。和薄荷としてブランド化して販売するためには、品質の確保が重要となります。栽培は容易な品種ではありますが、無農薬栽培はもちろん、有機肥料の使用量などにも注意が必要です。

香りが重要な和薄荷は、収穫にも注意しなければなりません。刺激を与えないように、葉についた土を落とす洗浄作業や梱包など、皆さんが共通して行うルールづくりも必要となります。

ハーブアーティストのKANAMEさん(写真右)からハーブの植え方を学びます。

乾燥させた和薄荷を使ったハーブティなど、商品化の可能性についてのレクチャーも。

 

プロジェクト会議では参加者から、
「品質を求めていかないと残っていかない。みんなで勉強して力をつけていかないと。」、
「販売の時は、地域性やこの取り組みのストーリーも伝えられたら。」、
「出荷の時に俵ヶ浦半島のことを伝えるパンフレットなども同封しては?」
と、様々な意見が交わされます。

ハーブプロジェクトのリーダーで農家の山口昭正さんは、
「和薄荷はあまり手をかけなくてもできるけど、地域の皆さんで品質を揃えていくのは難しいところもあります。ブランド化するには丁寧に扱わないといけないし、連携や分担の方法も検討していかないといかないですね。」
と、製品化・ブランド化に向けて考えを巡らせます。

 

■ 俵ヶ浦半島産ハーブのブランド化と安定的な生産・出荷を目指して

和薄荷生産と並行して、販路開拓に向けたモニター調査も実施しています。「展海峰コスモスウォーク」では、休憩ポイントで乾燥させた和薄荷を使用したハーブティを試飲提供。

また、大阪のレストランにも試験的に購入していただき、和薄荷を使用した料理やデザートとして提供されました。地域の食材に着目したレストランで、和薄荷だけでなく、俵ヶ浦半島の他の食材の活用も検討したいという評価をいただき、今後のさらなる展開が期待できる結果に。

和薄荷を活用した商品開発に向けて勉強会を開催。

スタートアップミーティングから1年、生産者もこれらの評価に気持ちを後押しされ、新たな地域のメンバーも増えてきました。「ハーブの栽培だけでなく、和薄荷のハーブティの商品化もやりたい!」と意欲的。これから、フレッシュでの出荷や、乾燥させてハーブティとしての商品化を目指して取り組んでいきたいと思います。

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