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まちづくりの強力なサポーター!地域おこし協力隊・久米川泰伸さんに聞く、俵ヶ浦半島でのこれから。
まちづくりの強力なサポーター!地域おこし協力隊・久米川泰伸さんに聞く、俵ヶ浦半島でのこれから
平成28年に誕生した、俵ヶ浦半島のまちづくりを担う「チーム俵」。地元在住の若手が中心となり、住民の皆さんの想いや目指すべき地域のビジョンをまとめた俵ヶ浦半島未来計画をもとにまちづくりに取り組んできました。さまざまな取り組みを続けていますが、解決すべき地域の課題は多岐に渡ります。
佐世保市役所やまちづくりプロデューサーなど、外部の専門家のサポートもありますが、将来的に移住希望者をの受け入れを目指す中で、移住者の視点をもって一緒にまちづくりに取り組んでもらえる人が必要でした。
そこで、平成29年度に佐世保市役所が「地域おこし協力隊」を募集。京都出身の久米川泰伸さんの就任が決まり、これまで一緒にまちづくりに取り組んできました。令和1年度をもって地域おこし協力隊としての役割を卒業する久米川さんに、これまでの俵ヶ浦半島での活動と、これからの展望について話を伺いました。

・・・俵ヶ浦半島の地域おこし協力隊・久米川泰伸さんに「半島キッチン ツッテホッテ」にて話を伺いました。
■俵ヶ浦半島ならではの暮らしを感じる風景がお気に入り
「道を走っていて海が見え始めたとき、帰ってきたなぁとどこか懐かしく思わせるところが海の風景にはあって。漠然と海の近くに住みたいなと思っていました。」
ラフティングや登山など、アウトドアが趣味という久米川さんは、京都でゲストハウスを起業・経営するかたわら海の近くへの移住を考えていました。移住先での仕事も合わせて探すうちに、佐世保市俵ヶ浦半島で地域おこし協力隊を募集していることを知ります。
俵ヶ浦半島のホームページでまちづくりの情報も調べていく中で、自然環境を生かしたまちづくりを地域が一丸となって進めている姿がとても魅力的に映ったそう。そうして応募した結果、採用が決定。平成29年7月に俵ヶ浦半島にやってきました。
まず俵ヶ浦半島の風景に心を打たれたとのこと。九十九島の壮大な風景はもちろん、特にお気に入りの風景は、作物が育つ段々畑の先に海が見下ろせる半島ならではの風景。作られた展望台からの眺めではなく、長年にわたり培ってきた暮らしが感じられる風景に特に魅かれ、今でも時折バイクを走らせ眺めに行っているそうです。

・・・俵ヶ浦半島の生業の風景。(Photo / Koichiro Fujimoto)
■チーム俵と一緒に手探りで進めた俵ヶ浦半島のまちづくり

・・・チーム俵で半島キッチン ツッテホッテ店長の中里竜也さんと。
着任後はさまざまなプロジェクトをサポートしてきた久米川さん。歳の近いチーム俵の部長たちや地域の皆さんともすぐにうちとけ、しめ縄づくりなどの地元行事にも声がかかります。
久米川さんの印象に残っているプロジェクトは、展海峰のウォーキングイベント。当日はスタッフとして、参加者のおもてなしや見守りなど、チーム俵のメンバーと一緒に運営に携わりました。

・・・ウォーキングイベントで先頭の旗持ちを行う久米川さん。
「ウォーキングイベントは昔から続いてきたイベントで、俵ヶ浦半島の4町が一つになるイベントですよね。地域の皆さんも思い入れが違うし、みんなも積極的。形が変わったとしても、4町の皆さんが集えるものがあると良いですよね。」
と久米川さん。
逆にうまくいかなかったところは、空き家問題とのこと。久米川さん自身も協力隊就任後は俵ヶ浦半島に住みながら活動することを望んでいましたが、すぐに住める物件がなく、佐世保市中心部に家を借り、半島に通いながら活動を続けてきました。
市街化調整区域でもある俵ヶ浦半島は、自然環境や営農環境を守るため建築などが制限されています。俵ヶ浦半島特有の美しい自然環境の保全にもつながっているのですが、人口減少や空き家問題、移住者の受け入れという視点では大きなハードルにもなっています。
久米川さんは空き家調査をしたり、市役所の担当部署と相談して空き家活用の可能性を探ったり、移住希望者に対して俵ヶ浦半島を案内してきましたが、移住者を受け入れるには至らず、思うような結果を残すことができなかったと振り返ります。

・・・俵ヶ浦半島を訪れた方々に半島の魅力を案内。

・・・地域の皆さんに会った時、話題はプロジェクトの状況報告に。
■俵ヶ浦半島の暮らしを伝える農家民宿の開業を目指して
地域おこし協力隊の任期満了まであと半年となった令和1年の夏、チーム俵の理事で農家の山口昭正さんが、自身が所有する空き家を活用して、半島に来る人達がくつろげて、地域のみんなとも交流できる“たまり場”を作りたいと発案します。この計画に久米川さんも参画。地元京都でゲストハウスを経営されている久米川さんは、俵ヶ浦半島にも拠点を作りたいと考えており、2人を中心に農家民宿の整備に向けて動き始めました。
農業体験や漁業体験を通して地域の人と触れ合うことを目的としている農家民宿は、現在俵ヶ浦半島で進行している様々なプロジェクトも生かすことができ、移住希望者が一時的に滞在して俵ヶ浦半島の暮らしを体験する場所としても使うことができます。停滞している移住者受入の突破口としても期待できます。
山口さんの空き家は築年数も古く、家主が不在となってから数年経っており、老朽化や雨漏りなども見られます。改修予算はないため、DIYによる改修からスタート。久米川さんが県内の地域おこし協力隊に呼びかけ、古民家DIYワークショップも開催しました。地元の大工さんも余った資材を持って駆けつけ、地域の皆さんの協力のもと、現在も空き家改修が継続中です。

・・・古民家DIYワークショップでは、久米川さんの呼びかけにより集まった他地域の地域おこし協力隊の皆さんが活躍。
久米川さんは、この土地ならではの暮らしや、暮らしの中で培われた知恵も俵ヶ浦半島の魅力であり、そのことを農家民宿で伝えられたら、と話します。それには、協力隊の研修で訪れた対馬の農家民宿での体験が大きかったとのこと。
「対馬の農家民宿は、農家のおばあちゃん一人で切り盛りしているんですが、何か飾ったものがあるわけではないんですよね。ただ、そこでご飯振る舞ってもらって、話をして、お酒を飲んで寝ただけなのに、とても満たされた気持ちだったんです。実家に帰った時のような、何も遠慮のいらない場所になって。どこか気持ちの奥で、そのような場所を求めていたのかもしれません。」
「俵ヶ浦半島で始める農家民宿も、遊漁船やハーブ、トレイルなどと同じように、俵ヶ浦半島の暮らしを一緒に感じてもらえる場にしたいですね。半島には暮らしやその土地の魅力を伝えられるものがたくさんあるので、眺めるだけでは見えない風景を僕らの生活を通して見てもらえたらと思っています。」
農家民宿は2020年度のオープンを目指して計画・改修中です。Facebookでもその模様をお届けしています。今後の展開にもぜひご期待ください。

・・・農家民宿を計画している古民家にて、久米川さんと山口昭正さん。
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